『真空に流れる』佐藤弘

去年の新潮新人賞受賞作。
権威に弱いぼくは受賞作ばかり読みます。
作者自身保坂和志の強い影響を受けたと言ってますが
ぼくは保坂を読んでないのでわかりません。
友人のピストル自殺現場を撮影していた
高校生が遺言どおりビデオを編集するというもの。
その設定につきると思う。
どこでピストルを手に入れたか、
なぜ自殺するのかなどまったく説明されません。
ビデオの編集に関しても
何をどのようにしているのかよくわからず
結局音楽を(人に頼んで)つけただけなんじゃないのってとこです。
一応そのビデオを編集する目的ってのも
あるにはあるんですがいまいち希薄。
編集するというのが中心の生活なので
平板になりがちなんですが
そこはビデオを見たがる後輩女子の存在や
自殺現場を撮影していたことが
学校で噂になるなどして
飽きさせない展開(バカみたいな感想だ)。
実際、撮影してたことをクラスの数人が
知っていることに気づくシーンは
ちょっと鳥肌ものでした。
最後の展開とか少し腑に落ちないとこあり。