もうやだ

ぼくは貫通願望があってエヴァに出てきたロンギヌスの槍みたいな
あと陸上競技やり投げのやりみたいな
先に刃物が付いていないタイプのやりが身体を貫くのを望んでいるのですよ。
夜空に光る白い流線型がぼくの身体を貫いて
ベッドに磔にされることをぼんやりと思い描いているとそこそこ楽しいのです。
できればぼくが今まで付き合ってきた女の子が
その華奢な身体に似つかわしくないやりを手にしてぼくにむかって
一斉に突き刺してくれるといいなぁ。
ほら、ぼく、クリスマス生まれだしキリストみたいに死んでもよくね?
誰でもいいからぼくを貫いてくれないか。
もうやだ。
妖精さんになってしまいたい。
ちなみに妖精さんというのはぼくの頭にいる人で
ひとりで考え事なんかしてるときとかさー
自分で作り出した世界の住人であることが自然すぎて
はっと気づくと自分が肉体を保持した人間であるということを忘れてて
じっと手を見て違和感を感じて(この言い回しって重複ですか)
うえあ、オレ、身体あるじゃん。
やばいじゃん、腐っちゃうじゃん。
ってなって軽くパニックになったりするとき
あー、妖精さんになりたいと思います。
もう、終わりですよ。
ギロチンがぼくを食べてしまう。
間髪いれずに、隔てられた首と胴を繋げてくれるやり投げ投手登場。
わき腹から挿入された流線型が球体頭部を貫いて
ぼくの身体を維持することに努める。
切断面から噴出す血潮は真紅のマント。
我、ここに、生まれたり。
我、ここに、滅びたり。
我、忘れられた記憶とともに。