卒業してきた

卒業式ということで盛装を準備してきたんですが
いろいろ中途半端で少しやり残した感が拭えない。
シルクハットが小さいとか
ブーツが就活用でなんだかやぼったいとか
フリルシャツがむちむちでおなかがちょっと見えちゃうとか
マニキュアがもうはげてるとか
細かいことを気にしながら母と昼過ぎに家を出ました。

母は僕の格好に対して眉を顰めているので
一緒に歩くのも少し恥ずかしそうだった。
通り過ぎてく自動車のドライバーがみんな見てると言ってました。

昨晩母と話していて気づいたのだけど
この人は、おそらく父も、僕の格好に注文をつけてることを
ごくごく普通の会話の一種だと思ってるらしい。
僕は自分のしていることを両親に認められたいので
何か一つを否定されるたびにすごく気に障る。
それが上から下まで全部が全部否定なので実家はストレスフルな環境だった。

学校まで行くと袴姿の女の子達がわさわさいたんだけど
他学科の子ばっかで全然知り合いがいなくてちょっとさみしい。
去年のほうがなんか感慨ひとしおだったよなぁと
スカートをたくし上げて階段を上る。
基本的に男子は知らないと思うがロングスカートは
階段を上るとき裾を踏むことが多々ある。
それを防ぐため深窓の令嬢みたいにうやうやしく
足を運ぶ。

シルクハットとモーニングとギャルソンのスカートに黒い爪。
なんかゴスっぽいと思ったんだけど誰もそんなふうには見てくれなかったです。

授与式後すぐさま帰った母を電話で呼びつけ
僕が世話になった副手二人に紹介する。
やたら恥ずかしがってものすごい低姿勢で
あっという間にどっかに消えた。

その後母は上野に行ったらしいが
寒くてすぐ帰ってきたとのこと。

後輩が近づいてきておめでとうを言うより先に
多いほう? 少ないほう?って聞くので
ま、多いほうかなって答えたらタンポンをくれた。
よくわからない。
今手元にあるんだけど、中を見るべきなんだろうか。
そして自分のケツのアナに入れてみるべきなんだろうか。
迷う。

女の子達と記念撮影してたら知らない子から声をかけられた。
ずっと憧れてたんです、一緒に写真とってくださいー。
フラグがたったー。
こういう子にこそ第二ボタンをあげたいと思って
いる?って聞いてみたらいらないとのこと。
少しがっくり。
少し大胆にちょっぴり刺激的に腰に手をまわしたりして
記念撮影。


その後も知らない人から何回か写真や写メールを撮られつつ
卒業生を送る会に出る。
毎年タダ飯、タダ酒を食らいに出席してきたけど
今年で最後になると思うとちょっと残念。

去年の夏に館山に行った水泳合宿で一緒だった
ちさととめぐが花束を持ってきてくれて
僕とツルとムネのむさい男三人はすごい喜んだ。
笑いあいながら合宿のときの写真とか交換した。

思い出なんていつもいつも糞ったれだけど
楽しい毎日の蓄積をそう呼ぶのなら悪くはないかもしれない。

ところで第二ボタン×10はどうなったかというと
全部はけました。
結構意外な結果というか、予想通りというか
後輩が下さいよーとか言ってくるのはなんとなく想像してたけど
ほんとに足りなくなるとは思わなかった。

ボタンを外して、小さい手のひらに載せて
小指から順番に閉じていってやっぱり小さい拳ができたら
その甲に軽く接吻をした。
酔ってたからちょっとやりすぎた様な気もするし
すごい嫌そうな顔をした女の子もいたけど
別にいい。
僕がやりたいことをやれたってので充分。

日が暮れる前にゼミ飲みに行って
来年度から副手になる子に後輩を頼むって行ってから
サークル飲みに参加。

アナルセックスのことをアナルエッチとか言い換えて
リエゾンしてアナレッチとか言ったら
なんかストレッチみたいで普及するんじゃないかってことを
かわいい後輩の首筋を眺めながら思う。

結局一枚も写真撮らなかったよ、僕。
デジカメ持ってったのに。
去年はあんなに撮ったのに。

袴姿の女の子と物陰でいちゃいちゃしたかった。
すごく残念。
また五年後に楽しむとしますわ。

そんな感じで朝まで歌って笑ってすごしたよ。
ほんとどうでもいいようなくだらないような
それでいてまだ手放したくないような
生暖かい湿度を保った空気の中で僕は思う存分空気を吸った。
それをゆっくり吐き出しながら歩いて帰った。