『人のセックスを笑うな』山崎ナオコーラ

四十路目前の人妻美術学校教師と恋に落ちた学生の話。
一読してタイトルに疑問を持ったが、これが読者に対する警句なら少し納得。
でも笑うようなベッドシーンはなかったです。


はじめはその人を食ったタイトルとペンネームに面食らったけど
中身は非常にまっとうな恋愛小説だったと思う。
僕自身もその薄い経験から別れというものを知って
なんとなく理解できる部分があったような。
こんなふうに書くと中身の濃ゆい言葉が詰まっているように聴こえるけど
それほど濃密な時間軸が存在するわけではなく
短い段落でスパッと切れて季節は移り変わっていく。
そんでいつの間にか一年がたってる。


人妻とヨロシクやってるというのに同級生から告白されたりして
引く手あまたなのがちょっと許せない。
頻繁に行を空けたり、段落を変えたりするのが気になった。
自分も小説を書くようになってから行を空けたりすることが
簡単な切り替えの方法だと知って、ちょっと厳しいかもしれない。
夕焼けをマグロの刺身のようだと言っていたのが気に入った。